~めっけもん通信~


 三陸特有のリアス式海岸と、太平洋に昇る朝日が満喫できるホテル、グリーンピア三陸みやこ
全客室がオーシャンビューのこのホテルは、太平洋の大パノラマと、四季折々の風情を映す美しい庭園がお客様を出迎えてくれます。敷地内には流水プールなどのアウトドアスポーツ施設の他に体育館や、多目的アリーナが完備されています。

 現在は宮古地区最大の407戸の仮設住宅が立ち並び、宮古市田老地区で被災された22店舗が並ぶ『たろちゃんハウス』と呼ばれる仮設商店街が隣接されています。

  

 グリーンピア三陸みやこで元気にフロント業務をされている吉水五(いつ)穂(ほ)さんに宮古市についてお話をお聞きしました。

グリーンピア三陸みやこ フロント業務 吉水 五穂さん
 宮古市田老地区で生まれ育った吉水さん。小さい頃から動物が好きだったため獣医師を目指しセンター試験を受けました。残念ながら第一志望には届かなかったため、それならばと2011年2月、迷わず北海道の搾乳の牧場へ就職しました。そこでは憧れていた獣医師の仕事に接することができました。体調管理の業務を通し元気になっていく牛たちを見ることで、牛に関わっているという実感を感じていました。
 しかし、仕事にも慣れ始めた1ヵ月後の2011年3月、北海道で東日本大震災をむかえました。 

東日本大震災
 3月11日は休日で自宅にいました。住んでいた北海道では震度3。「震源地は三陸沖。こっちがこんなに揺れたということは地元はもっと大変なことになっているんじゃないか」。テレビをつけると、そこには見慣れた地元が津波に飲み込まれていく映像が。「本当に現実なのか」とその惨状に絶句しました。家族との連絡も1週間近く取れず、不安の日々を過ごしました。連絡がついたときには仕事中にも関わらず、思わず泣き崩れてしまいました。
 震災発生の1ヵ月後の4月、休日をもらい地元田老へ。変わり果てた田老の地に愕然としました。自宅は高台にあったため被害はありませんでしたが、地元に対する想いが強くなりました。
 そして今強く感じているのは「この地元で出会う人々はただ生きている人々ではなく、この震災を乗り越えて生き続けている人々なんだ」ということ。

地元田老で働きたい -グリーンピア三陸みやこ-
 牧場を約1年勤務した2012年5月、グリーンピア三陸みやこにUターン就職。就職先のグリーンピア三陸みやこは震災直後、避難所となり多くの人が避難し肩を寄せ合って過ごしていた場所です。
 入社後はベッドメイキングや掃除などの業務やレストランでのサービス業務を経験。現在はフロント業務を行っています。「フロント業務はホテルの顔。お越し頂いたすべてのお客様に対し初めに応対するのがフロント業務なので、常に笑顔で応対することを心がけている」吉水さん。お越し頂いたお客様からも仮設住宅のことや震災時のこと、宮古地域の観光地や美味しいものを聞かれます。それらを知ってもらうのが喜びであり、次の頑張りにつながります。地元の方がお越しの時には方言で応対。「まだくんがえ(またくるね)」というお客様の一言が活力となります。
 他にも地元では感じたり、考えてもみないことをお客様から学ぶことがあります。例えば食べ物ひとつにしても、普段はみそ汁の具材一つとしか見られないワカメを『ワカメしゃぶしゃぶ』という食べ方で食べると、さらに美味しく楽しく食べられます。肉厚のワカメを湯通しすることによって変化する色に感動をしてくださるお客様を見ると、改めて地元の良さを再確認します。



グリーンピア三陸みやこの魅力
 従業員の多くが被災者なので復興に向けて前向きに取り組んでいます。敷地内には仮設住宅や『たろちゃんハウス』という仮設商店街が併設されているので恐縮されるお客様もいますが、震災のことを知って頂き多くの方にお越し頂きたいと思います。前向きに取り組み笑顔で迎え入れる住民の方々、商店主や従業員を見て欲しいです。
 また、ホテルでご提供している食材もぜひ楽しみにして欲しいといいます。旬の食材をご提供することを心がけ、時期には従業員自らが取ってきた山菜をお客様にご提供しています。さらにマグロに関しては冷凍のものを一切使用していないため、生のマグロの美味しさを刺身として楽しめます。

吉水さんが語る宮古の魅力
 田老地区を代表する観光名所、県指定の天然記念物『三王岩』。太鼓の形をした太鼓岩、高さ50mの男岩、その傍らにある女岩の3つの巨岩から成る岩は田老地区のシンボルでもあり、田老の学校校歌や町民歌の歌詞にも用いられています。また全長2.4キロにも及ぶ防波堤にも描かれていました。本当に三王岩が津波で崩れなくてよかったと思います。

  

 食べ物では田老地区で取れるブランド『真崎ワカメ』があります。肉厚なワカメは色々なドレッシングと合うのでサラダとして食べても美味しいですね。
個人的に好きなスイーツは宮古市保久田にあるお菓子屋『西野屋』のモンブランで、絶品なんです。西野屋のモンブランに出会うまではあまり得意ではありませんでしたが、このモンブランは別格です。

吉水さんが考える『防災』
 田老地区は過去にも明治、昭和と大津波を受け壊滅的な被害を受けた歴史があります。その度に不屈の精神と郷土愛で先人方は乗り越えてきました。住民一丸となって被害を繰り返さないようにと平成15年『津波防災の町』の宣言を掲げました。その8年後に東日本大震災が起きてしまい、田老地区だけでも約180名の犠牲者が出てしまったことが本当に悔しい思いです。これからも住み続けていく住民の姿と町づくりを見ていきたいですし、こういった歴史があるということを多くの方に知ってもらいたいと思っています。

吉水さんが考える『宮古の観光』
 三陸沿岸道路の開通が待ち遠しいという吉水さん。
宮城県仙台市から青森県八戸市を結ぶ全長約360kmの復興道路は2020年をめどに開通予定です。開通するとグリーンピア三陸宮古の目の前にインターチェンジができる予定なので、お客様も来やすくなり、そのことでホテルと宮古市の浄土ヶ浜といった観光地をさらに近くに感じて頂けると考えています。
 また三陸沿岸道路から牧場で放牧されている牛たちを見ることができたら、癒しも与えることができるんじゃないかなと思います。その牛から絞られた新鮮な牛乳やソフトクリームをホテルでご提供できるようになればどんなにいいか。田老地区一体が観光地となり、ホテルの周りで地域の繋がりをつくっていけたらと考えています。

仕事を通しての『夢』
 負けず嫌いで気が強いのでこのホテル業を極めていきたいと思っています。海外からのお客様も多いので英語の勉強もしています。
 また、自分が観光客の立場となって、まだ知らない地元の良いところを直に学んでいきたいと考えています。先日宮古観光協会で実施している『宮古おもてなし観光・文化検定』も受験し合格しました。お客様に対しての『おもてなしの心』と、実際に自ら観光客として見て触れたことをお客様に伝え「吉水さんに宮古のことを聞けば楽しくなんでも応えてくれる」と思ってもらえるように日々努力を怠らず、精進していきます。